『負け犬の遠吠え』『パラサイトシングルの時代』

パラサイトシングル、という言葉は97年に考案され、
三十代後半、未婚、独身を「負け犬」と呼ぶこの本が出版されたのが
03年、というわけで、

パラサイトシングルと負け犬はかなり重複していると見なせそうだ、
ということで、昨年末からにわかに若年労働者問題に興味を持って
しまった私は両方読んでみているのですよ。


『パラサイトシングルの時代』は、学者が一般向けにコンパクトに新書に
まとめた感じの本ですね。状況の説明、主張が明快で(若干センセー
ショナルに過ぎる感もありますけど)、読みやすいです。
なるほど、と思いましたね。


『負け犬の遠吠え』は、読み掛けなのですが、腹が立ったりいらだったり、
哀れに思ったりで大変です。
まず、はっきり言って、著者の物書きとしてのレベルが低いです。
言い回しが小賢しい。昭和軽薄体の流れを汲むといえばくむのでしょうが、
昭和軽薄体の使い手たちが骨太な描写もできる強靭な物書きなのと
比べると、とにかく文章が薄っぺらい。文章としてはゴミです。
また、この本には「パラサイト・シングル」の語も出てくるのですが、
著者は『パラサイト・シングルの時代』をまず読んでないでしょう。
彼女自身が関わるごく狭い社会で見聞したことや、ごく狭い世代的
体験をひどく一般化していて、たいへん狭量な印象がぬぐえません。
(未婚のまま働いている女性は社会と接点があり、結婚して家庭に
入った女性は社会と接点が無い、という視点が貫かれていたりします。
こんな古典的な女性観/社会観で物を書くとは...)

次に、著者の根性はちょっとねじ曲がってるんじゃないかと言わざるを
得ません。読み進めるほどに、「とりあえず『負け犬』と自称/自嘲して、
へりくだってやるけど、私たちはそれなりにお洒落に生きてるし、
結婚した女たちと違って社会とつながってるし、こんな状態になっ
ちゃったのは私たちのせいじゃなくて家族や社会や男や会社が悪いのよ」
という、卑怯で姑息な主張が見え隠れして、読んでいて気分が悪いのです。

繰り返しておきますが、『負け犬の遠吠え』は基本的には読むに値しない、
下らない本だと思います。
ただまあ、僕ら「バブル後世代」は、著者のような「バブル世代」に対して
冷ややかに見る習慣が付いているので、この低評価はそのせいかも
知れませんけどね。
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by izagon | 2005-01-10 19:35 | 読書日記


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