NHK v.s. 朝日新聞 問題の争点の個人的まとめ

朝日新聞さん、NHKの圧勝ですよ、このままじゃ

思うに、この問題には大きく分けて以下のような争点がある。
覚え書きとして書く。

前提として、「政治と報道」という一般論はいったん考えないことにする。
(そんな議論は今回の問題とは別の次元なので、いま持ち出すのはおかしい)

1. 事実関係
2. 朝日新聞記者が記事を書くまでの取材手法と内容
3. 元の番組の内容と編集指示の内容
4. NHKにおける番組制作の体制
5. 法律問題
(追補:その他) 関連する雑多な事実や問題について

以下に簡単に説明を付ける。


1. 事実関係
安倍、中川両議員が、
(1)番組の放送前に
(2)番組の内容を変更するよう
(3)圧力をかけた
これらの事実を証明する責任が、朝日新聞にはある。
または、そういう事実があると信じるに至った根拠を示す責任がある。


2. 朝日新聞記者が記事を書くまでの取材手法と内容
-取材の記録を提示するべきである。
※本来、ニュースソースは秘密にするべきとされるが、今回の場合
多くの当事者が既に実名を出されている。少なくとも、既に名前を
出された人への取材記録については(本人の了解を得た上で)
公表してもよいのではないか。
-安倍、中川両議員、およびNHKの該当番組の担当プロデューサー、
NHKの幹部への取材が適切に行われたか。
-各氏への取材ののち、取材で知り得た事実の裏付けをとるべく
取材を行っているか。
-本田氏ら担当記者が自身で会見する機会があってもよい。


3. 元の番組の内容と編集指示の内容
-「女性国際戦犯法廷」を扱った番組であった。
-そもそも「女性国際戦犯法廷」とは何か。報道各社はこれを紹介
 してもよいのではないか(ご自分でお知りになりたいかたは、
 バウ・ネット・ジャパンのHPなどを参照のこと)。
-番組では、この法廷を取材している。
-編集の指示の内容は、この法廷の正当性について反対意見を
 挿入せよ、裏付けの取れない証言部分については削除せよ、という
 もので、実際には歴史学者秦郁彦氏のインタビューが挿入され、
 「元慰安婦」の不確かな証言について削除している。

※テリー伊藤が22日付フジテレビの番組で「編集前と後のを見させろ」
 と言っているが、上記のとおりで、見なければ分からないというほど
 複雑な話ではない。きわめて妥当な編集と言わざるを得ない。


4. NHKにおける番組制作の体制
上記の「改ざん」裁判(「編集」/「期待権」裁判?)に見られるとおり、
番組は複数の関係者によって制作されている。
-取材、撮影など素材の収集
-編集(取材で得た素材から何らかの意図のある番組を構成する)
-監査(編集された番組内容が妥当かどうか判定する)
こうしたプロセスが、どのように行われているかを明らかにすることで、
-放送の公正と自由がどのようにはかられるか
-「政治的圧力」が働くものかどうか
を検証することができると思われる。


5. 法律問題
-放送法の問題、憲法の言論、思想の自由の問題は、上記に列挙した
 個別の事実が明らかになった時点で論じるべきもので、観念的に
 「自由か公正か」を論じても意味が無い。この二つの「価値」を
 具体的な局面に置かず、観念的に比べても結論など出せないから
 である。
-朝日新聞が名誉毀損でNHKを訴えるのはおかしい。朝日新聞の
 名誉を回復するには法廷での勝利ではなく、事実と取材の妥当性に
 よってのみである。


(追補:その他)
-朝日新聞は、「10分間にわたり一方的な主張をした」とNHKを批判
 しているが、自社の新聞が縮刷版となって数年にわたり日本中の
 多くの図書館で閲覧可能であるという事実を無視または軽視している。
 影響力の点において「新聞はもはやテレビに勝てない」と自分で
 宣言したに等しい。
-朝日新聞には、反体制左翼思想ともいうべき考え方で、事実を歪めて
 報道した誤報/虚報の過去がある。詳しくは、
 『朝日新聞の研究』(古森義久、井沢元彦、稲垣武 扶桑社)
 『「悪魔祓い」の現在史』(稲垣武 文藝春秋)
 など参照のこと。
-今回の記事を書いた朝日新聞の記者である本田雅和氏は、漫画
 『ゴーマニズム宣言』で新聞記者とは思えない、粗雑で決めつけに
 満ちた取材態度を強く批判されている人物である。
-問題の番組については、開催に関わったバウ・ネット・ジャパンなる
 組織が、NHKおよび制作に関わった各社を相手どり裁判を起こし
 ている。その主張は、取材時にバウ・ネット・ジャパンに対して
 行った説明とは異なる内容で番組が作られたことで被害を受けた、
 というもの。一審判決では、取材の現場でバウ・ネット・ジャパンに
 説明を行った制作会社(ドキュメンタリー・ジャパン)が、「あらぬ
 期待を持たせたことで、損害を生んだ」ということで損害賠償を
 求められているが、編集そのものについては放送局の権利として
 留保されるものであるとし、NHKは損害賠償をしないでよいことに
 なっている。ただし、ドキュメンタリー・ジャパン社の主張によれば、
 この「法廷」の記録を中心においた番組構成を主張したのはNHK側
 (件の告発を行った長井氏ら)であり、ドキュメンタリー・ジャパン社は
 バランスのとれた構成を主張している。さらに、上記の「編集」作業
 の時点では本番組の制作から離れており、NHK内部で編集が
 行われたとしている。本件は二審を係争中である。
-バウ・ネット・ジャパンは、...かなり思想的に偏向していると言わざるを
 得ない。HPで「女性国際戦犯法廷は「模擬裁判」ではない、民衆裁判
 だ」などと主張している。主張するのは構わないが、一般的な通念と
 かけ離れていることは理解しておいて欲しいものだ。
-バウ・ネット・ジャパンのサイトには、一審判決の情報が載っていない。
 なぜだろう...そういう情報を載せたほうが支援は得やすいと思うのだが。
-バウ・ネット・ジャパンのサイトには、安倍晋三氏への公開質問状が
 載せられているのだが、NHKの朝日新聞へのそれと比べると、...
 瑣末なことばかりです。

以上。
テレビでは見せてない話もいろいろありますねえ。
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by izagon | 2005-01-22 15:20 | 沈思黙考


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