『読書について』
ショーペンハウエル著、岩波文庫。 高校の現代国語の教科書に小林秀雄の『読書について』という 小文が載っていたのがきっかけで、学校近くの書店で買った本です。 以来十数年が経ちますが、いまでも時々読み返し、そのたびに 新鮮な気持ちになります。 今日の午後、鬱々とした気分に嫌気がさして、ふと本棚から 取り出して読んでみたのですが、やはり面白い本でした。 「読書について」という書名によって喚起される予想に反して、 ショーペンハウエルは読書を礼賛したりはしません。 むしろ濫読を批判しますし、新刊が大量に出版される状況にも 批判的です。 (なんと19世紀に新刊大量出版が批判されているのです!) 簡単に言ってしまえば、よく考えること、よい本を読むことを 勧めているだけなのですが、明晰な文章と機知に富んだ比喩とで、 非常に説得力のある主張になっています。 読書という行為に、なにがしか意味を見出す人は、必読の本だと 思います。 ただ、この本は「グーテンベルグ系」の本なのかな、という気が さっきしました。 情報が氾濫し、その情報を制するべくgoogleのような検索 サービスが開発される。「本を書く」という作業も、ひとりの著者に よってなされるばかりでなく、オープンソース式に何人もの著者の 手によって書かれていくのが現代です。 その意味では、「本」というメディアから「本」そのものが飛び出そうと している時代に、あらたな倫理/道徳/哲学が求められていることを、 反照する本、なのかも知れません。
by izagon
| 2004-07-09 16:35
| 読書日記
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