人口減少がもたらす経済への影響

人口減少が経済・社会にもたらす影響について、なんだかいい加減な議論が
多い気がします。
トラックバックした元の記事と、それに付けられたコメント、他のトラック
バックを見て思いました。

挙げられている議論は、たとえばこんなもの。

-機械化により、労働は減っている。人口は増やす必要はない。
-働きたい、働ける老人は多い
-第三世界に安い労働者が沢山いる
-そもそも国力と人口は関係ない


簡単に一つずつ反論をしてみましょう。

-機械化により、単純労働は減っている。人口は増やす必要はない。
それはその通り。しかし、機械による代替可能な労働には(今のところ)
限界があります。人が生きている限り労働はあり続けるでしょう。
そもそもこの議論は、生まれてくる人は「労働力」としてのみ必要と
される、と想定しているようですが、それには若干違和感があります。

-働きたい、働ける老人は多い
それもその通り。私も働ける限り仕事をしていたいです。
でも、現在若い学生がやっているような、単純なアルバイト仕事
(マックの店員、深夜の工事現場や駐車場の警備・・・)を、
年老いてからやりたいとは思わないし、そういう仕事を定年後の
老人にやってほしいとは思いません。
機械による代替と同様、勤労老人によって代替可能な仕事にも
当然の限界があります。

-第三世界に安い労働者が沢山いる
それはその通りですが、カンボジアの青年に、「明日から日本で、
日本人が使うアプリケーションのためのプログラムを書いてくれ」と
いうわけにはいきません。
我々が生きていくのに関わる「経済」は、どんなに情報通信技術が
発展して「グローバル化」しても、かなりの比率でドメスティックでしか
いられないのです。

-そもそも国力と人口は関係ない
これは全然間違っています。「経済」「労働力」という視点を外せば
簡単に明らかになります。
結局、働いて何かを作ったり、サービスを提供したり、何かを
発見したり、発明したり、というのは「人」にしかできないことです。
アインシュタインだって、そもそも生まれてこなければ、何も
できなかったわけです。
人口が増える、ということは、人間の可能性の総和が増えるという
ことです。人が減っても(文化、経済、もろもろ込みの)国力が
減らない、ということは無いと考えていいと思います。


こんなところでいいでしょう。
簡単にいえば、「そもそも、『ここ』(日本)に、人がいないと
できないことがある」ということです。
常識的に判断できると思います。

となれば、
「年金制度を維持するために人口を増やす」という議論は短絡すぎて
とうてい同意できませんが、政府としては少なくとも「人口を急激に
減らさない」方策を打つのは当然のことです。

しかし当然、個人の幸福、価値観の自由への配慮が必要な以上、
「子供を生む人が過度に不利にならないようにする」施策、あるいは
「子供を生む人を保護し助成するが、子供を生まない人が過度に
不利にならないようにする」施策を選択するのが妥当、というのは
木村氏も言っているとおりです。
(木村氏は「人口なんか減ってもいいじゃん」とは言っていないことに
注意)


それにしても、トラックバック元の記事、惜しいです。
年金の制度問題と、少子化の問題が無意識的に混ざってしまっているのと、
筆者のもともとの「フェミニズム思想」が強すぎて、へんな反応を
しちゃっている感じがしますし、論理が混乱した印象を与えています。

-木村剛氏の意見への見解
-年金制度問題で取り上げられる、家族制度論について
-フェミニストとしての自身の立場
-少子化対策についての世の議論への反論
-家族制度について考え直すべき

という感じで整理して書いてもらったほうがよかった気がしました。
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by izagon | 2004-07-22 13:32 | 沈思黙考


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