『嘘つき大統領のデタラメ経済』
ポール・クルーグマン著、三上義一訳。 読み終わりました。 新聞、雑誌のコラムを集めたものなので、ひとつひとつの文章が 3〜4ページで完結しており、リズミカルであるとともに少々食い 足りない印象もしました。 一つ一つの文章は、言うまでもなく興味深いし、皮肉や揶揄が こめられた文章はそれだけで面白いです。生真面目な翻訳なので、 必ずしもその魅力の全ては伝わってないのかな、という気はします。 "Et tu, Alan?"というタイトルが付けられたコラムがあるのを見て、 そう思いました(シェークスピアの『ジュリアス・シーザー』の台詞 「ブルータス、お前もか」のパロディですね)。 とはいえ、英語についての私の能力は非常にお寒いので、 本当のところは分かりません。 もう少し内容に踏み込んでみます。現職のアメリカ大統領がこれほど いい加減なのか!と思わされました。経済政策のいい加減さ、 社会保障政策の根拠の無さ、ひどいものです。私はほんのちょっと ドルの資産を持っているのですが、再選されるようなら売ろうと 思いましたね。また、日本の総理大臣のアメリカ追随を危ぶむ気持ち になりました。ここ5年のアメリカ経済、政治、社会の実相を知るのに よい資料だったと思います。 今度は本の内容から少し離れますが、まず『嘘つき大統領の デタラメ経済』という邦題はひどすぎます。軽薄な印象ですよね。 ブッシュ大統領の顔が大写しになった表紙の装丁といい、ちょっと 買いたくない本になってしまっています。 原題は "The great unraveling...losting our way in the new country" ということです。ニュアンスが分からないので変に訳を付けるのは 避けますが、もうちょっといい邦題を付けたほうがよかったのでは ないでしょうか。 あと、訳者によるあとがき、ちょっと蛇足でした。特に、小泉批判を 取って付けているのはよくないです。経済学のきちんとした バックボーンを持つ人が誠実に書いたコラムの後ろに、ステレオ タイプな小泉批判を付けてしまっては、本全体の価値を落とす ことになります。それはそれできちんとした事実の把握と考察が 必要な話題なわけで、かるーく扱ってしまってはいけないのでは ないでしょうか。 私は小泉首相について(全体的には)評価している人間なのですが、 それは批判論が軽薄だから、という要素は否定できません。 独裁だの、過去の経歴に問題があるだの、変わり者だのという レベルの批判では、彼がこれまでにやったこと、これからやろうと していることの正当性を却下するには至らないと思うからです。 日本の学者/ジャーナリストによる、きちんとした経済政策批判が 読みたいものです(岩田規久男氏とかかなあ?)。年金問題に ついては、良書が多いらしいのを知っているのですが...
by izagon
| 2004-09-20 08:30
| 読書日記
|
以前の記事
2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 2004年 06月 2004年 05月 2004年 04月 2004年 03月 カテゴリ
全体 日記 読書日記 勉強日誌 沈思黙考 物欲団長 買った物 金銭欲親分 続けたいこと ブログで文章を書く心がけ ダイエット日記 オンライン出版日記 自炊日記 事務所開業への道 関連HPほか 今日の電波 ちらしのうら サンボマスター風 育児日記 検索
私について
性別:男
年齢:30代前半 身長:189 cm 体重:0.1t 職業:中級プログラマ/SE 最終学歴:某私大卒 趣味:読書、塊魂 最近の野望:減量、本の出版 備考:テレビ東京の女子アナが好き 最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||