ネット時評(4/12)
著者:内田勝也(情報セキュリティ大学院大学助教授兼中央大学助教授) ダメですねえ。 書いてあるのは、次の3つの事実と、1つの結論です。 (事実) -最近は、メールサーバがメールの添付ファイルにウィルスが感染していないか チェックし、感染が発見されると警告メールを送信者に送るケースがある。 -ウイルスメールは、感染源が特定されるのを防ぐため、送信者を偽る ケースがある。 -メールサーバが送る警告メールの文面は、メールヘッダと、次のような 警告メッセージである。 件名: ウイルス警告当社のXX(上記では、Woody、以下同じ)にX年X月X日 (200X年X月X日)X時X分X秒(X:X:X)にあなたが送ってきた メッセージにウイルス(W32/Netsky-D)に感染していたので、削除した。 (結論) -こんな警告をもらう側はびっくりしてしまう。不安になる。 送信者情報を偽ってメール送信するウイルスもいて、実際は送信していない ケースもある。なので、次のような文面に変えるべき。 当社のメールシステムはあなたが(当社の)XXに送信したメールに ウイルスが含まれていたことを発見しました。これは、 (1)あなたのパソコンがウイルスに感染している (2)あなたのメールアドレスを詐称して、メールが送られてきた のいずれかです。(2)の場合には、問題ありません。 まあ、「素人の方がメールサーバによる警告メッセージを読んだら、 びっくりする」「不安になる」という主張は結構です。 ですが、この代替案ではダメです。 「(2)の場合には、問題ありません。」なんて言ってちゃダメでしょう! この警告メールが来た場合には、メールサーバがチェックして くれていますが、もしウイルスチェックしていないメールサーバで あれば、感染したメールを配信してしまっているわけです。 ウイルスが詐称したものだろうがなんだろうが、「自分が配信した (ように見える)メールが、ウイルスをばら撒いている」というのは、 企業のユーザーとすれば、かなり恐ろしい話です。 自分のPCが感染していないか、あるいは自社内に感染者がいないか 早急にチェックしなければいけませんし、必要なら重要顧客に 連絡を取ってチェックしてもらわないと、信用問題につながります。 こうした影響を考えれば、確かに不親切な表現ではあるけれど、もとの 警告メールが不適切だとは到底いえません。 社会的な影響についてこの筆者はどう考えているのか、はなはだ 疑問です。 そもそも、このコラムのタイトルが 『過ぎたるは及ばざるがごとし--ウイルスチェックソフトの弊害』 なんですよね。 「物を知らない学者」の典型みたいな文章でした。
by izagon
| 2004-04-12 16:52
| 沈思黙考
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