5月8日放送、
NHK総合の『週刊経済羅針盤』という番組で、「ジブリの秘密大公開」として スタジオジブリの社長が語っていました。 私が見て一番面白かったのが、「日本のアニメの品質は優れていて、 国際的にも評価が高いというが、そのビジネスとしての将来は?」というふうに NHKのアナウンサーから水を向けられたところでしたね。 鈴木社長は、非常に暗い見通しを語りました。 「日本では1週間に(※1年と言ってたかな?)80近くアニメ番組を放送しているが、 このうち日本だけで制作しているものはほんの2割程度。企画は日本だが、 制作は海外というケースが増えている。産業としての将来は暗い。現場に いると、暗い面のほうが見える」 というようなことを言っていましたよ(※数字については僕の曖昧な記憶に 基づくので、不正確だと思って下さい)。 いやー、言っちゃったね、鈴木さん。 (馴れ馴れしくてすみません) 政府のお役人やら、なんとか総研の研究者、あるいはアニメファンドなんて ものを作った金融屋さんなんぞは、アニメやおたく系文化を「コンテンツ産業」と 呼び変えてなんだかつまらん策動をしているようです。 しかし、実際その現場はお寒い状況だということを、国際的に最も成功している (とされる)アニメ制作会社の社長に指摘されてしまったわけで、 「コンテンツ産業」を推進したい方々の説得力を4割がた削ってしまったのじゃ ないですかね? 元おたくで、現在は社会復帰を果たしている私に言わせると、90年代には 既にオタク文化の深化と発展、オタク社会の確立に反比例して オタク系の産業に質的な劣化が起きていたように思います。 アニメの絵の質が落ちるというような表面的なものからはじまった劣化は、 先行作品の低質なパロディ作品しか作り出せないという、企画レベルの 劣化、さらには制作組織とその運営の決定的な破綻※にまで進んでしまった のです。 ※『新世紀エヴァンゲリオン』は先行するオタク的な要素を高品質で盛り込んだ という意味で平成以降のオタク文化の一つの頂点をなしていると思うのですが、 同時に「テレビ放送時に次回の予告編が間に合わず、絵コンテを予告編の かわりに使った」という産業として致命的な失敗をした作品でもあるのです。 オタク社会、オタク文化は、分化と深化をしていくでしょう。もしかしたら、 市場規模も大きくなるかもしれない。 けれど、「コンテンツ産業」は成長しないし、日本経済を牽引するような 存在には、逆立ちしてもなれませんよね。 アホなことは目論まないで、地味にやってほしいもんですよ。
by izagon
| 2005-05-08 22:37
| 日記
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